陸行水行別冊黒い画集2

耶馬台国はどこにあったか。
朝鮮半島から耶馬台国に至るルートに魅せられて、古代人の道を辿ろうと思い立った2人はどうなったか? 古代史のロマンと推理がみごとに結晶した表題作「陸行水行」のほか、“村に道路が通る!”と土地の買い取りで沸き立つ村社会の心理の駆け引きをえぐり出す「形」、邪魔な恋人を切ろうとする男をクールに描いた「寝敷き」、若いツバメがひきずりこまれる蟻地獄とは……「断線」と、最後の1行までサスペンスが続く、名推理4篇。
満月が、新戦場を、照らしていた。
敗走する侍大将を斬った足軽らは、その手中にあった敵陣の娘を奪い、暴行をくわえようとしていた。
欲望の眼にとらわれた娘・梨花は、しかし偶然通りかかった牢人者に救われる。
一介の牢人者とは思われない、颯爽とした気品のある男の名は、多門夜八郎。
彼は、助けたはずの梨花を、「殺しはせぬ。
犯すのだ」と……。
戦国の世、波乱の中に人と人が出会い、血が血を呼び、善悪入り乱れるロマンがここにはじまる。
豊穣の土地と評された伊吹野にたどりついた者は、その惨状に息をのんだ。
田畑はひび割れるまでに涸れ、民は数年前に侵略した暴君・田丸豪太夫の圧政にあえいでいた。
伊吹野の土一揆に巻きこまれた多門夜八郎は、ついに苦しむ農民たちに味方する決意を固める。
いっぽう、多門を追う一行が伊吹野をめざしていた。
不戦で敗北した剣士、多門に乱暴された娘・梨花ほか、さまざまな因縁にあやつられた豪傑、姦雄たちが、続々と集まっていた。
戦雲は嵐をふくんで、無気味に動いている。
非情に生きる剣士・多門夜八郎の胸が熱くなった。
愛する梨花の死、彼を慕ってはるばる訪ねてきた美夜の涙。
さらに、すぐれた剣術遣いの九十九谷左近を倒しながら、つのるのは生涯の好敵手をなくした喪失感という現実。
しかし、決戦のときは迫った。
伊吹野をうるおす竜神湖の水を切って落とさねばならぬ。
よこしまな野望で百鬼夜行の戦国乱世を闊歩した不逞のやからが、いまや夜八郎を中心に集まり、九人の戦鬼となって、地を蹴り血闘の戦場へとまっしぐらに突進した。
西暦574年、橘豊日大王と穴穂部間人皇女の間に皇子が生まれた。
幼い頃から聡明で、不思議な力を備え、厩戸皇子(うまやどのおうじ)と呼ばれたこの皇子こそ、冠位十二階の制定や十七条憲法などによって日本史上あまりにも名高い、後の聖徳太子であった。
波乱に満ちた短い生涯を貫いていたものは、生きとし生けるものへの深い慈しみと悲しみの心だった――。
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